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「家ってどんなふうにできてるの?」 田中郁恵

 

「最近の家の床下はコンクリートなんだね、お母さんが子供の頃は床の下は土だったけど。」

 

家の話をしていたとき、母親とこんな話になりました。

 

小さい頃、木造2階建ての家に住んでいた母は毎年畳を干すのを手伝っていたらしいのですが、畳をめくるとその下には板が敷いてありその隙間からは地面が見え、そこから外の空気が入ってきた、、そんなことをふと思い出したようです。

 

他にも障子の張り替えや板間の拭き掃除、毎年メンテナンスをしなければならないことはおそらく今よりもたくさんあり、手が回らないので子供も一緒に手伝っていたのだと思います。

自分たちだけではできないことは大工さんに頼んで修理や調整をしてもらう、そしてその作業をじっと見ていたりすると、それは仕上げの内部がどうなっているのかを垣間みる機会となったりもしますから、自然と「家」というものが一体どういうふうに出来ているのかというのを知っていたのだろうなと思います。

 

最近は、メンテナンスの手間を省けるような性能の良い新建材が広く普及しています。

合板フローリングは反り等もあまり発生せずに扱いやすく、さらには「ワックスがけ不要」という特殊コーティングされたものもありますから拭き掃除くらいしかしたことがない、という人も多いのではないでしょうか。壁のクロスも汚れがついても雑巾でふけば簡単にキレイになりますし、外壁も汚れが付きにくく、数十年塗り替えいらずなものもあります。

 

建物のメンテナンスって、やはり手間もかかるし費用もかかります。

ですので、やはりそういう性能が優れたものが求められ、現在では色んな種類の新建材、既製品の家具や扉が多く流通しています。

しかしそうなると、建物のささいな変化に気付くことも手をかける機会も減ってしまい、普段自分たちを取り囲んでいるモノというものが一体何なのか、実はよくわかっていなかったり、またどのように出来ているのか、意識することもなかなか減ってきているのではないでしょうか。

 

一方で自然素材や人の手でつくるものというものは仕上げることもさることながら、メンテナンスすることも手間がかかる素材です。

 

例えば無垢のフローリングは湿度の時期には膨張して膨らんだり伸びたりします。逆に乾燥すると縮みます。材料も一律でなければ室内の環境によってそれぞれ動きかた異なりますので、出来上がってからしばらくの間、落ち着くまで様子をみなければなりません。日焼けによって色も変わってきます。こうして色々聞いてしまうとそれだけでも、「ああ、手間がかかりそうだな~」と思ってしまいそうですし、「こう扱えば絶対大丈夫」という完璧なマニュアルのようなものもないので、自分にちゃんと扱いきれるのか、不安に思われるかたもいらっしゃると思います。

 

 

工業製品、自然素材、それぞれにメリットとデメリットがありますから、どちらが材料としてどちらが優れているかという話は別として、、、自分をいつも囲んでいる「住まい」がどういう材料でつくられているのか、どんな匂いがするのか、どんな堅さなのか、手触りはどうか、環境や時間によってどう変化するのか、どうやって手入れをするといい状態が保てるのか、また壊れた時にはどうやって直せば良いのか、どの程度ならば自分で直せるのか、そういう感覚を小さい頃から身近な場所で培っていくのは大切だと思います。

そう考えると、少々扱いにくくてやっかいだと思われがちな自然素材も、手をかけるきっかけとなってくれますよ。「食育」と同じように、「住まい」についても、触れて、知っていってほしいなと思います。

 

 

 

プロフィール

 

田中 郁恵           HP:http://t-ikue.com/

■経歴

関西大学建築学科卒業後、同大学大学院工学研究科にて都市設計学を専攻。

大学院修了後、京都のアトリエ系の設計事務所にて8年間勤務、主に住宅設計などの仕事に携わり、その後、田中郁恵設計室を主宰。 住まい、店舗、家具、外構、など空間にかかわるデザインをしています。

■資格 一級建築士

 

 


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