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「どこで子育てしますか?」 田中郁恵

 

子育て中のご家族が新たに住む場所を決めるとき、どんな条件でその場所を選ぶのでしょうか。 夫婦どちらかの仕事の都合で決まる場合もあれば、もともとそこに土地を持っていたから、など、子育てとは別の理由で決まることもあるかもしれません。 また、公共サービス、環境、治安、学区制度、サポートしてくれる人、例えば両親などが近くにいるかどうか、など子育てに適した環境かどうかなど、さまざまな条件もあるかと思います。

 

これは、こんなカタチもあるんだなと思ったご家族の一例です。

 

もともと都心で子育てをされていたご家族で、ご夫婦と2人のお子さん。お子さんはまだ保育園に通う年齢でやんちゃざかりの男の子です。 そんなご家族が期間限定で奥さんのご実家のある田舎に引っ越しされることを決められました。 といっても、お子さんが小学校にあがるまでの3年間の期間限定。 そのご実家がある場所は地方のなかでも古くからある集落で、人口2000人ほどの町です。都心からは片道で2、3時間の距離で、すぐそばには山、川、そして田んぼが広がっています。 また、そのお家は都心で住んでいたマンションに比べ、はるかにゆったりとした土地に建っていました。 さすがにご主人はお仕事の都合で一緒に移って住むというわけにはいかなかったので、平日は単身で都心にくらし、週末に家族のいる家に通う、という生活をされることにしたそうです。 しかし、そう簡単に行き来できる距離ではないので、かなり悩まれたことは容易に想像できます。 そう決められた経緯をお聞きしたことがありました。 都会にいれば習い事や、イベント、遊ぶ施設など、種類も数もたくさんあるので、子供の興味に合わせて色んな機会を与えてあげることができるけど、田舎へいくとその数はぐっと減ってしまうので可能性の幅を狭めてしまうんじゃないか。一方、ご主人の仕事の帰りは遅いこともあって、病気など何かあったときすぐ頼れる親族も近くにいない…。 そんな悩みもあったようですが、私が印象的だったのは、「都心のマンションでの生活はやはり玄関の扉をあけると危険が多いので、まず、遊ぶためにわざわざ『公園』まで行く、そして遊んだらまた家に帰る。 そんな、家と遊ぶ場所(公園)の間が途切れているという生活になにか違和感を感じていた」というお話です。 もっと自由にのびのびと、外で子供を遊ばせてあげれないものか、と。

どこに住む20140819

 

田舎に引っ越しされたあとにそのご家族を訪ねると、なるほど、男の子たちは家の中とそのまわりの広い庭を出たり入ったりしながら内も外も関係なくのびのびと駆け回っていました。 そのあたりに落ちている石や木、虫、草、葉っぱや実は、創造力豊かに他の遊び道具に置き換わっていきます。 一方、お母さんは自由に駆け回る子供たちの様子をただじっと見守るわけでなく、家事をしながらなんとなく視界に入っているという距離感で見守っている様子。 なるほど。遊び中心の子供の生活と家事など親の日々の生活がやわらかく重なっているように感じました。

 

習い事は子供たちが大きくなってからでも選ばせてあげることができるけど、やっぱり地面がすぐそばにある生活っていいなと思いました。 そんな風におっしゃる様子をみて、このご家族にとって今この場所は望ましい子育ての環境なんだろうな、と感じました。 家族の数だけいろんな選択肢がありますね

 

 

プロフィール

 

田中 郁恵           HP:http://t-ikue.com/

■経歴

関西大学建築学科卒業後、同大学大学院工学研究科にて都市設計学を専攻。

大学院修了後、京都のアトリエ系の設計事務所にて8年間勤務、主に住宅設計などの仕事に携わり、その後、田中郁恵設計室を主宰。 住まい、店舗、家具、外構、など空間にかかわるデザインをしています。

■資格 一級建築士

 

 


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