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80センチの視界  うえおか 裕

ぼくはあるいたはっぱのおうちうえおか

19ヶ月のカンちゃんはおしゃべりするよりも体を動かすことが好き、ママが目を離したすきにどこへでもどんどん飛び跳ねるように進んでいきます。

ですから、ママは外に出ると気が気ではありません。いつもカンちゃんを追いかけているという状態です。先日のファミリーキャンプで出会ったお子さんです。

 

 カンちゃんは何を見て何を追いかけているのでしょう?

 

残念ながら、ことばよりも行動のカンちゃんからはこの理由を聞くことはできません。捕まえてだっこすると、とにかく「ん、ん」と前方を指さします。

 

行きたい方向なのでしょう。でも、その方向の何を目的にそっちに行きたいのかがさっぱりわかりません。

 

 私たち大人の目の高さー視野はだいたい150センチ以上でしょう。カンちゃんの倍の高さです。幼い子の目の高さから広い芝生を見たとき、その大きさはどれほどのものなのでしょう?私たちもしゃがんで芝生を見てみる必要があります。大きな広い地面が目の前に広がりいくらでもまっすぐに歩いて行けるうれしさに捉えられるのかもしれません。とにかく、カンちゃんはまっすぐにどんどん歩いていくのですから・・・。

 

 「ぼくはあるいた まっすぐまっすぐ」という絵本は子どものまっすぐに歩くということをうまくとらえてストーリーを構成しています。子どもの本の世界では、ワンクッションをおいた世代、つまり、おじいさん・おばあさんが子どもたちを理解し寄り添う大人として描かれることが多いです。親よりもおおらかな視野、子どもをそのまま受け入れる豊かさでしょう。この本でも、おばあさんの言葉がこどもを冒険に誘う言葉を暗示しています。

 

【はい もしもし うん、ぼくだよ いまから? ぼくひとりでいくの? どうやっていけばいいの? おうちのまえのみちをまっすぐいって いなかみちをまっすぐまっすぐ いなかみちってこわくない? どのいえがおばあちゃんのうちかわからないよ うん、わかった のぞいてみるね】

 

 そして、まっすぐに歩いていきます。文章は子どもの視線で、絵はそれを見守る視線で描かれています。

 

 

 地面に近い彼らの目には、地面を這うアリや雑草、石ころなどがすぐ近くに、自分に近しいものとして、すぐに手に取ることのできる視野に入ってきます。「はっぱのおうち」のさちも雨宿りに入り込んだ葉っぱの陰で、地面からすぐ近いところに現れる虫たちと雨宿りの屋根を共有します。雨宿りをするという同じ行為から虫たちと自分が違う生き物だという境界をこえ、雨が上がると

「ほら、もう あめ やんだよ。ほんとの おうちへ かえろう。みんなかえろう。おかあさんが まってるもん」とさちも虫たちも立ち上がるのです。

 

 まっすぐみる視界・しゃがんで地面を見る視界、子どもだった自分の視界を思い出してみよう、しゃがんで見える世界を。

 

 

参照

「ぼくはあるいた まっすぐ まっすぐ」 マーガレット・ワイズ。ブラウン作

                    坪井郁美 ぶん 林明子 え

 

「はっぱのおうち」           征矢清 さく  林明子 え

※今回は偶然にも林明子さんの絵ばかりになりました。

 

 

 

プロフィール

うえおか 裕

公益財団法人 ラボ国際交流センター会員・ラボ教育センター関西支部テューター

御所南小学校コミュニティ委員

 

1993年より中京区でラボパーティを主催、2歳から大学生までの子ども達と物語の世界を楽しみ、外国語や日本語で劇として再表現する活動を展開

同時に、児童館や市内小学校にておはなし会の活動も。


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